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研究プロジェクト

私たちはシロイヌナズナをモデルにオスとメスの両方から特殊な細胞構造の機能解析に取り組んでいます

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花粉管と精細胞

精細胞は次世代へ受け渡す遺伝情報を保持しています

花粉管は精細胞を卵細胞まで運ぶ役目を持っています

精細胞の輸送と
花粉管の潜在能力

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2つ1組の精細胞は栄養核とともに花粉管先端からやや離れた位置にみられます

これらは別々の駆動力をもち,花粉管の成長に合わせて先端へ輸送されます

私たちは立命館大の元村一基博士らとともに,本来は細胞壁のほぼない精細胞で強制的に細胞壁カロースを作らせると精細胞が動かなくなることを見つけました(cals3m

栄養核が動かないwit1 wit2二重変異体の精細胞でカロースを作らせると,全ての細胞核が輸送されない花粉ができました (cals3m wit1 wit2

これまで花粉管の伸長行動は栄養核によって細かい制御を受けると想像されてきましたが,3つの細胞核が全て基部側に隔離された花粉管は野生株と遜色ない伸長能力を示しました

核輸送に影響せず伸長する花粉管の潜在能力は別の実験でも確かめられました

生殖系列細胞に発現する転写因子BONOBOを欠損する植物は,精細胞のない花粉を作ることが,京都大の山岡尚平 博士の研究から示されました (bnb1 bnb2

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​栄養核が動かないwit1 wit2二重変異に加え,bnb1 bnb2二重変異ももつ四重変異体を調べると(bnb1 bnb2 wit1 wit2),栄養核のみ基部側に隔離された花粉管が出現しました

引き続き私たちは元村博士と精細胞の輸送メカニズムの実体を追っています

by Ikoma

​内部形質膜

内部形質膜は1対の精細胞を覆う膜構造です

精細胞の輸送や受精に関わると推測されますが,その役割は謎に包まれています

​内部形質膜の崩壊

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受精の場である胚珠まで伸びた花粉は精細胞を放出します

内部形質膜に包まれた精細胞は素早く細胞表面を露出し,卵細胞や中央細胞と受精しなければなりません

私たちは,精細胞放出後の内部形質膜が断片化を伴って迅速に崩壊する様子を顕微鏡で捉えることに成功しました

現在,私たちは複数のアプローチで内部形質膜の断片化の実行因子の同定を目指しています

​助細胞と繊形装置

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卵細胞の両脇に2つある​助細胞は門番のような役割をはたす細胞です

花粉管を胚珠へと導き,精細胞の放出を促した後に正確に受精の場へ届けます

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花粉管誘引物質の極性分泌

助細胞は胚珠の入り口側に繊形装置とよばれる細胞膜と細胞壁が複雑に陥入した特殊な構造を持ちます

繊形装置では花粉管の誘引ペプチドを分泌しますが,その極性分泌のしくみは不明でした

私たちは助細胞のアクチン繊維が誘引ペプチドの極性分泌を担っていることを解明しました

さらに花粉管の放出で一時的に消失したアクチン繊維が経時的に回復することもわかりました

この繊維再生と共に,助細胞は受精失敗時の花粉管誘引を再開していると考えられます

今後,繊形装置のペプチド分泌の動的な変化を調べることによって,

オスとメスの新たなコミュニケーションの形が見えてくるでしょう

胚乳と細胞融合

受精した中央細胞は核分裂を繰り返して胚乳へと発達します

そこで,初期胚乳は助細胞と細胞融合をはたします

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細胞融合と花粉管誘引停止

​受精後の胚珠ではいくつかのシグナル経路の作用で素早く花粉管誘引停止が起こります

残存助細胞の不活性化はその多花粉管拒否の仕組みの中でも主要なメカニズムとして知られています

私たちは残存助細胞が不活化する過程で,細胞融合で初期胚乳に吸収されることを突き止めました

そして,このユニークな植物細胞融合の重要な因子も同定しています

なぜシロイヌナズナが回りくどい方法で助細胞を排除するのか,

その理由ももうじき明らかにできるでしょう

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​卵細胞

卵細胞は次世代誕生の要となる細胞です

9割を超える受精成功率を卵細胞はどうやって実現しているのでしょう?

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パッチ状の細胞外構造

卵細胞はなぜか中央細胞と接する細胞外

領域だけでパッチ状の構造を作ります

この領域はちょうど2つ1組の精細胞が放出されて

卵細胞や中央細胞と接する受精領域が生じる部分

にあたります

私たちは,卵細胞のパッチ状構造が精密な受精を支える仕組みを研究しています

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